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上野の東京都美術館で開かれているパリの100年展に行ってきました。写真は展示の中で唯一撮影が許されているエッフェル塔のミニチュアです。この塔はエッフェルという人が建てたからそういうのですね。エッフェル地区でも、エッフェル構造でもありません。
パリの「100年」と言っても1908〜2008のことではなく、1830〜1930の100年間のことです。ロマン派と言われる時代から、漫画の始祖と言われるドーミエの作品などもあり、ゴッホ、ピカソに至るまでの時代です。素人が見れば、「まともな絵」から「ヘンな絵」への過渡期だったのではないかと素朴に思います。つまり「古きよき時代」ということです。
見る前にちょうど講演会をやっていたので聞きました。パリで作品を借り集めてきたという教授がパワポで絵の解説やその収集苦労を語ります。私には教授が高所恐怖症だというハナシくらいしか意味が分かりませんでしたが、ナポレオン3世を筆頭に当時の権力者はけっこう美術に理解があったということは解しました。
芸術の都パリといいます。明治大正の日本人が大いに憧れ、また華やかな帝国主義時代の外交に活躍した舞台の1つでもあります。日本のイメージもありました。開国前は浮世絵や陶器などの物品紹介が主で、その後はパリに住まう日本人も現れました。
パリで中国の陶磁器ブームが起こったことの、風刺画家ドーミエの皮肉り方が面白いのです。陶磁器と言えば当時は中国で、日本の瀬戸物などはニセモノ陶磁器と思われていたようです。日本製を愛玩する貴婦人を「ああニセモノと知らずに」と滑稽さをもって描いています。当時のちっぽけな日本の地位が推し量られるところです。
このドーミエは、当時の権力者ルイ・フィリップを西洋梨に見立ててマンガを描き、罰金を食らった人物です。よく罰金だけで済んだものです。フランスはこういう「ヘンな人」を受け入れる度量に優れていますね。
政治的にはナポレオン後に帝政と民主制が数回入れ替わり、戦争に勝ったり負けたりを繰り返して、起伏の多い、不安定な時代だったと言えます。そうした傾向はだんだん絵が「崩れていく」ような感覚に表れているような気がします。
ありのままを見た絵画は見やすいのですが、近代の抽象画は何を表しているのか言われてみないとさっぱり分からない感じがします。これと言うのも現代文明に向かって、ナポレオンの頃から世の中がますます複雑化して、美の世界にも「やってられねーや」と言うような無秩序の支配が強くなっています。
複雑化すれば次には単純化の波が来ます。歴史とはそういう輪廻の繰り返しです。今はと言うと、単純化への歩みを着々と進んでいるのではと個人的には思います。


